ポンコツでいるのは疲れる
失敗すること自体より、その後の運用のほうが疲れます。
先に謝ります。笑いに変えます。次は大丈夫だと言います。 気にしていないふりをします。実際に気にしていることを悟られないようにします。
この一連が毎回発生します。
疲れているのは失敗ではなく管理
内訳を分けると、こうなっています。
| 労力 | 中身 |
|---|---|
| 実務 | 失敗そのもの、やり直しの作業 |
| 印象の管理 | 謝る、フォローする、空気を整える |
| 感情の管理 | 落ち込みを見せない。平気な顔をする |
| 予測 | 次にどこで失敗しそうかを常に考えている |
下の3つは、記録にも評価にも残りません。 やっているのに、誰からも認識されない労力になります。
そしてこの3つを毎日やっていると、実務より消耗します。
「ポンコツ枠」に入ったあとの疲れ
一度その役割が定着すると、別の種類の疲れが加わります。
・失敗を期待されている感じがする
・うまくいったときに、驚かれる(それも地味に効く)
・冗談として扱われるが、笑うのはこちらの仕事になる
・役割から出ようとすると、周囲が調整をやめない
最後の行がいちばん重いです。
改善しても、周囲の見方は自動では更新されません。 更新するには、こちらが働きかけ続ける必要があります。 その働きかけ自体が、また労力になります。
演じている場合はさらに疲れる
自分から「ポンコツ」を名乗って場を回している場合。
短期的には効率がいいです。 期待値が下がるので、失敗しても落差が出ません。
ただし、演技には維持コストがあります。
- 実際にはできることを、できないふりで通す場面が出てくる
- 評価が下がるので、任される仕事も下がる
- 降りるタイミングが分からなくなる
そして、演じているうちに本人の認識も寄っていきます。 (→ポンコツを演じる人たち──ポンコツムーブとは)
降り方
役割から降りるのは、宣言ではできません。 周囲の見方は、こちらの態度が変わってから遅れて動きます。
| やめること | 代わりに |
|---|---|
| 先に謝る | 事実だけ報告する |
| 笑いに変える | 何も言わない |
| 「私ポンコツなので」 | 言わない。それだけでいい |
| 平気なふりをする | ふりも、逆のアピールもしない |
「言わない」が中心になります。 何かを足すのではなく、やっていた運用をやめます。
最初はぎこちなくなりますし、場が静かになります。 その静けさに耐える期間が、いちばん短い労力で済む降り方です。
場所を変えると一度で消える
現実的な話をひとつ。
役割は、その場所に属しています。 別の場所に移れば、その役割は最初から存在しません。
これは逃げの話ではなく、 上に書いた「働きかけ続ける労力」がゼロになるという実務的な話です。