ポンコツにまつわる名言とことわざ

先に断っておくと、この記事では現代の著名人の言葉を引用しません。

出典と正確な文言を確認できないまま並べると、 誤った引用を広げることになるからです。

代わりに、ことわざと古典から拾います。 こちらは出典が明確で、しかも「ポンコツ」というテーマにはよく合っています。


誰でも失敗する、を言ったもの

ことわざ意味
弘法にも筆の誤り弘法のような書の名人でも、書き損じることがある
猿も木から落ちる木登りの得意な猿でも落ちる
河童の川流れ泳ぎの達人でも流されることがある
上手の手から水が漏れる上手な人でも、時には失敗する

4つとも同じことを、違う達人で言っています。 辞書もこれらを同義のことわざとして並べています。

これだけ言い方が用意されているということは、 「できる人でも失敗する」という事実を、繰り返し確認する必要があったということです。

昔から、人はミスを能力の問題にしがちだったのだと思います。


使い方次第だ、を言ったもの

ことわざ意味
馬鹿と鋏は使いよう切れない鋏にも使いようがあるように、ばかも使い方しだいでは役に立つ
一寸の虫にも五分の魂どんなに弱小なものにも、それ相応の意地や考えがあって、ばかにしてはいけない

「馬鹿と鋏は使いよう」は、この言葉が入る位置をよく表しています。

役に立つかどうかは、その人だけでは決まりません。 どう使うか、どこに置くかで変わります。

これは配置の話で、このサイトが何度も書いていることと同じです。 (→ポンコツな自分に向いてる仕事の探し方)


役に立たないことの価値

「無用の用」——『荘子』にある考え方です。

辞書の語義は 「一見無用とされているものが、実は大切な役割を果たしていること」。 『荘子』では、逍遙遊篇・人間世篇・山木篇・知北遊篇など複数の篇でこの考えが説かれています。

なかでも知られているのが、木材として使えないから切られずに大木になった木の話です。 使えないことが、生き延びる条件になっていました。

現代の職場にそのまま当てはめるのは無理がありますが、 「役に立つ/立たない」の判定が一つの物差しでしかないという指摘としては、 2000年以上あとでも通じます。


逆に、厳しいもの

温かいものだけ並べると片手落ちになるので、こちらも書いておきます。

ことわざ意味
独活の大木(うどのたいぼく)体ばかりが大きくて、役に立たない人のたとえ
月夜に提灯不必要なこと、むだなことのたとえ
下手の横好き下手なくせに、その物事をむやみに好み、熱心なこと

「独活の大木」の由来がいいです。 ウドの茎は木のように長く伸びるのに、柔らかすぎて材木になりません。 大きくなったこと自体は否定されていないのが、この言葉の含みです。

「下手の横好き」は、けなす言葉として使われてきました。

ただ、いま読むと評価が変わる部分もあります。 うまくないのに続けられるというのは、それ自体が珍しい性質だからです。


立ち直りについて

七転び八起き。

辞書の語義は 「多くの失敗にもめげず、そのたびに奮起して立ち直ること」。 人生には浮き沈みが多いことのたとえ、としても使われます。

七回転んで八回起きる、と数が合わないように見えますが、 七と八が選ばれているのは、古くから縁起の良い数とされてきたためとされています。 とくに八は末広がりの形から、繁栄や成功を呼ぶ数と見なされてきました。

このことわざが優れているのは、 転ぶことを前提に置いているところだと思います。 転ばないようにしろ、とは言っていません。


なぜことわざには「失敗」が多いのか

並べてみると、失敗と無能をめぐる言い回しが異様に多いです。

理由は単純で、失敗するのが普通だからです。

うまくいくことに名前を付ける必要はありませんが、 うまくいかないことには説明が要ります。 だから言葉が増えます。

「ポンコツ」という語が今も増殖しているのも、たぶん同じ理由です。 (→ポンコツは死語か──使われ方が変わった10年)


出典

ことわざの語義は、いずれもデジタル大辞泉(Weblio 掲載)の記述によります(2026年8月確認)。

ことわざURL
弘法にも筆の誤りhttps://www.weblio.jp/content/弘法にも筆の誤り
馬鹿と鋏は使いようhttps://www.weblio.jp/content/馬鹿と鋏は使いよう
一寸の虫にも五分の魂https://www.weblio.jp/content/一寸の虫にも五分の魂
無用の用https://www.weblio.jp/content/無用の用
独活の大木https://www.weblio.jp/content/独活の大木
月夜に提灯https://www.weblio.jp/content/月夜に提灯
下手の横好きhttps://www.weblio.jp/content/下手の横好き
七転び八起きhttps://www.weblio.jp/content/七転び八起き

現代の著作物からの引用は行っていません。 著名人の言葉を集めた記事を作る場合は、出典と正確な文言の確認が必須になります。


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