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「ポンコツ」と言われる場所から離れるとき
職場で繰り返しポンコツ扱いされていると、だんだん判断がおかしくなります。
最初は「次は気をつけよう」で済んでいたものが、 **「自分がいるからチームの足を引っ張っている」に変わり、 やがて「自分にはここを辞める資格すらない」**という妙な理屈に着地します。
離れることを考えていい段階に来ていても、本人がいちばん気づきにくいものです。
1. 「自分がポンコツだから」と「この職場が合っていない」は区別がつかない
同じ人が、部署を移った途端に普通に回りはじめる、ということが実際に起きます。
- 手順が言語化されていない職場で、口頭指示だけで動かされている
- 質問すると機嫌が悪くなる相手しか、聞ける相手がいない
- 前任者がいないまま引き継ぎゼロで渡された業務を、一人で抱えている
こういう条件下では、誰がやってもミスは出ます。 それでもミスが出た人が個人名で呼ばれるので、当人には「自分の能力の問題」に見えます。
能力の問題なのか、環境の問題なのかは、その環境の中にいる限り判定できません。 これは根性論ではなく、比較対象がないという単純な話です。
2. 限界のサインは、感情より先に生活に出る
「まだ耐えられる」と思っているときでも、先に崩れるのは生活のほうです。
- 日曜の夕方から動悸がする、眠れない
- 出勤前に吐き気がある
- 休日に何もできず、ただ寝て終わる
- ミスの回数が実際に増えている(疲労が原因なのに、能力のせいにされる)
このあたりが出ているなら、「もう少し頑張れるか」を考える段階ではありません。
3. それでも辞めると言い出せない、という壁
辞める決心がついても、そこからもう一段あります。
- 引き止められて、その場で押し切られる
- 「後任が決まるまで」と言われて、決まらないまま数ヶ月
- ポンコツ扱いされている相手に、自分から切り出さなければならない
- そもそも上司と話すこと自体が、いま一番つらい
退職の意思表示は、法律上は本人が伝えれば足ります。 ただ「伝えられる状態にあるかどうか」は、まったく別の問題です。 ここで詰まっている人が、実際に多くいます。
4. 自分で言い出せないときの選択肢
本人に代わって退職の意思を勤務先に伝える、退職代行というサービスがあります。
できることと、できないことがはっきり分かれる点は先に知っておいたほうがよいでしょう。
| できる | 本人に代わって退職の意思を勤務先に伝える/連絡の窓口になる/必要書類のやりとりを進める |
| できない | 勤務先との交渉(未払い分の請求、条件の取り決めなど)。これは弁護士または労働組合でなければ行えない |
交渉が必要な状況——未払い賃金がある、ハラスメントの責任を問いたい——であれば、 **退職代行ではなく、弁護士に相談する話になります。**ここを取り違えると期待外れになります。
5. 辞めたあとに残るもの
辞めても、「自分はポンコツだった」という記憶はしばらく残ります。 これは環境を変えただけでは消えません。
ただ、次の場所で普通に回った瞬間に、その記憶は急に力を失います。 そのときになって初めて、あれは自分の性能の話ではなかったと分かる、という順番になります。